幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
あたしはユニコーンを驚かさないように、声をひそめて言った。

「角ってどうやれば取れるの?」


――やれやれ

ジャルグはあたしの肩に這い上がった。

――殺さなきゃ取れないぜ


あたしはギョッとした。


「な……何で? どうして? 殺さなくたっていいでしょ?」


――そいつは、見た目より荒っぽいと言ったはずだ。殺さなきゃ取れない


「縄とか網とか、ちょっとだけ押さえてちょっとだけ角を切ればいいんじゃない?」


――暴れて、自分を傷つけて、結局は死に至る。怖い思いをさせる分、余計かわいそうだ


あたしは震える手で、ユニコーンのたてがみを撫で続けた。


――向こうの世界でなら、自然死したユニコーンの角が手に入る。だが、オイラ達、幻獣には持ち出せない


殺す?

この罪のない生き物を?

この美しい生命を?


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