幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「ユニコーンですね」

王妃様が言った。

「初めて見ました。美しいものですね。そなたが呼んだのですか?」


あたしは頷いた。


「そんなに泣く必要はどこに?」


たぶん、あたしの顔は涙と鼻水でグチャグチャなんだろう。


「と……友達の目を、治してあげたかったんです。とってもとっても大切な友達の。ユニコーンの角があれば……あれば、治るって聞いて」

あたしは啜り上げながら言葉を継いだ。

「でも……出来ない。この子を殺さなきゃ角は取れないんです。あたしには……あたしには出来ません」


王妃様は、ふと悲しげな微笑みを浮かべた。


「きっと、それでよいのです。お友達も、ユニコーンの命を奪ってまで治りたいと思わないのでは?」


そうだ。

ローズマリーなら、きっとそうだろう。


それでも


それでも、あたしはつらくて堪らなかった。




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