幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「行くぞ。先回りしてレディ·クリスタルを出し抜こう」


あたしはニッと笑った。

さすが、ホーク!


「院長殿、邪魔をした。詫びと言っては何だが後で寄進をさせてくれ」


「殊勝なお心掛け、喜んでお受けします」

院長は真面目くさって答えた。

「ただし今後、伯爵様のお身内はお引き受けかねます」


「追い出されたな、アレクサンドラ」

ホークは笑いながらあたしをドラゴンに乗せた。

「だから、修道院などダメだと言っただろう?」




ドラゴンはあたし達を乗せ、力強く羽ばたいた。

ドラゴンに乗るのは初めてだった。

体が揺らいで、慌ててホークの背中にしがみつく。

三回の羽ばたきで、ドラゴンは修道院の上空へと昇った。

その場を旋回し、風を捕らえると、黒い翼は滑るように海の上を飛んで行った。


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