幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
王都には何度か来たことはあるけれど、空の上から見るのは初めてだった。

中央には丘の上に建つ石造りの王城。

その周りを二重に、壁と堀が囲っている。

丘の下には、市街地が放射線状に広がっていて、さらにそれを高い壁が外敵から守るように取り囲んでいた。


ホークは、城の外壁と内壁の間の広場にドラゴンを降下させた。


そこは騎士達が集まっている場所らしく、どちらを見ても戦装束の男達ばかりだった。


「ホーク! どこに行ってたんだよ。王から呼出しが来ていたぞ」

そう言って近寄って来たのは、アーサー·リーだった。

「おい、よりによって尼さんを連れ込んだのか? まあ、背徳な感じで悪くは……」


「ごきげんよう、リー卿」


リーは目を丸くした。


「女神? ホークに愛想を尽かして修道院に入ったって本当だったのか!」


「軽口はそこまでにしておけ」

ホークはうんざりしたように言った。

「急いで全員を集めろ。レディ·クリスタルが、王妃を連れて戻って来る途中だ」

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