幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
<謁見の間>は細長く、恐ろしく広い部屋だった。

入口の遥か向こうに玉座があって、王様がいるのかいないのかよく分からない。

部屋の両脇には衛兵と、ホーク同様に武具を着けた何だか偉そうな人達がいた。


「ホーク! どこに消えていた?」


どうやら王は玉座にいるらしい。


「火急の用がありましてね」

ホークはそう言って、部屋のど真ん中を奥に向かってつかつかと歩いて行く。

例によって歩幅の小さなあたしは、小走りでホークの後をついて行った。


玉座は三段ほど高い場所にあった。

ホークは階段の前に立つと、胸に手を当て一礼した。

あたしも慌てて、膝を曲げて宮廷風の礼をした。

王は――確かホークより二つほど年下のはずだ――鋭い眼差しの痩せた男だった。

整った顔立ちも、冷たい雰囲気を和らげるどころか、ますます冷たさを際立たせているようだ。

たぶんこの人は、普段は眉一つ上げないだろう。

でも、今は面食らったようにあたしを見下ろしている。

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