幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「やはりね。伯爵様がいらしてたのよ」

「知ってる。村まで来たから。ここまで送ってもらったよ」

「まあ! サンディったら、そのままお帰ししたの?」

「だって、途中でホークのお客様と行き会ったんだもん。王都から来た人達みたいだったよ」

「王都から? 王様のご使者かしら?」

「知らない。でもお客が来ても、魔法修業はお休みじゃないんだって。がっかり」


母はため息混じりにあたしを見た。


何?


「サンディ、あなたの話し方はまるで村の女の子のようよ」


あたしは戸惑いながら母を見た。


「だって、あたしは村の女の子だもん」

「あなたは貴族の娘なのよ」


地位なし、財産なしのね――危うくそう言いかけた。

そんな事を言ったら母を悲しませる。


「あたし、村の女の子になりたい。本当は織り師になりたいのに……」


できればショーンのお嫁さんにも。

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