幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「これは、ここ二年間のレディ·クリスタルの身辺調査記録です。いつどこへ行ったか。誰と会ってどんな話をしたか」
リーはパラパラとページをめくった。
「おや、素敵なお買い物もなさってますね。大きな木箱を多数。ハーブの苗を育てるのに手頃ですよね?」
リーの顔に意地の悪い笑みが浮かんだ。
「あるいは温めた砂を入れて蛇の卵を運ぶ時にも」
「そんなの何の証拠にもならないわ」
レディ·クリスタルが不機嫌そうに言った。
「証拠じゃありません。これは情報――王様がここに書かれている商談相手をちょっとだけ締め上げるためのね」
「でっちあげよ!」
「記録を取っていたのは、パトリック·レイヴン·リー。ご存知でしょ? 貴女の兄を名乗っている男の従士見習ですよ。俺の弟です」
「レイヴン?」
レディ·クリスタルの声から力が抜けた。
「レイヴン一族の小伜がわたくしの近くにいたと言うの?」
「レイヴンとは何です?」
王妃様があたしに聞いた。
リーはパラパラとページをめくった。
「おや、素敵なお買い物もなさってますね。大きな木箱を多数。ハーブの苗を育てるのに手頃ですよね?」
リーの顔に意地の悪い笑みが浮かんだ。
「あるいは温めた砂を入れて蛇の卵を運ぶ時にも」
「そんなの何の証拠にもならないわ」
レディ·クリスタルが不機嫌そうに言った。
「証拠じゃありません。これは情報――王様がここに書かれている商談相手をちょっとだけ締め上げるためのね」
「でっちあげよ!」
「記録を取っていたのは、パトリック·レイヴン·リー。ご存知でしょ? 貴女の兄を名乗っている男の従士見習ですよ。俺の弟です」
「レイヴン?」
レディ·クリスタルの声から力が抜けた。
「レイヴン一族の小伜がわたくしの近くにいたと言うの?」
「レイヴンとは何です?」
王妃様があたしに聞いた。