幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
王様が異様に長い剣で、ヒュドラの最後の首を斬り落とした。

ヒュドラの首がシューシューと蒸気のような煙を出し、縮まっていく。

辺りには毒の甘ったるい臭いが立ち込め、何人もの男達がうめき声を上げのたうちまわっていた。


「咬まれたの?」


「ああ」

ホークは苦々しく答えた。


「どうして? これだけの数の騎士と魔導士がいて……どうしてなの?!」


「召喚魔法は、このような緊急の接近戦には向かないのだ。魔法陣がないと使えないから」


「ホークは魔法陣がなくたって召喚魔法を使えるじゃない!」


「わたしは地脈を魔法陣として使っているからだ。ほとんどの魔導士には、それができない。それにドラゴンを喚んだところで、狭い場所では役にたたん」

ホークはあたしの頭を自分の胸に抱き寄せた。

「万能の力など存在しない。最後に勝つのはいつでも人間の心だ。自分を犠牲にしてまで何かを守ろうとする心が勝つ」


あたしは横の方を見た。

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