幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
ラドリーン姫は、手にした王笏を真っ二つに折った。


「根元は国の基(もとい)たる、国母殿へ」


ラドリーン姫はそう言って、王笏の片割れを王妃様に与えた。


「切っ先は正義のために戦う魔導士殿へ」


もう片方の王笏が、あたしに差し出された。

受け取ってよく見ると、それはユニコーンの角でできていた。


「ありがとうございます!」

あたしは王笏を胸に抱いた。


「早く皆を救ってあげなさい」

ラドリーン姫は囁くように言い、光と共に消えた。


王妃様とあたしはしばらく見つめ合い、それから歓声を上げた。


「ホーク!」

あたしは王笏の片割れを振った。

「これ、ユニコーンの角よ! 本物だわ! みんな助かるの!」



「薬士をこれへ!」

王様が命じた。

< 268 / 289 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop