幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「聞いた事がないのは――」

ホークが静かに言った。

「諸君が試した事がないからでは?」


場が静まり返った。


「面白い。そのサラマンダーは余にも助言してくれるだろうか?」

王様が、からかうように言った。


ジャルグはあたしの腕を這い下りてテーブルに上がると、真っ直ぐに王様の前まで進んだ。


――ひとつ知恵を授けよう

ジャルグにしては珍しく、重々しい口調で口を開いた。

――プライドのために戦うは愚の骨頂。戦は勝ちても負けても国を疲弊させる。戦わずして勝つのが賢者なり


「戦わずして勝て、と?」

王様は胡散臭そうに尋ねた。


――王様、あんたの頭はお飾りかい? はったりだけで勝ってみな。できるもんならな


王様は一瞬絶句して、

それから頭をのけ反らせて笑った。

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