幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
少し離れた木陰で、水筒の水を飲んでいたホークがあたしを見た。


「何の話だ?」

ホークは用心深く聞き返す。


しらばっくれる気?


「今朝、王様と話してたじゃない」


「ああ……今年だ」


あたしはちょっとばかりムッとした。


「あたしに話す気はあったんでしょうね?」


「なかった――と、言ったら怒るのだろうな」


「怒るっていうより、驚くんだけど」


ホークは少し顔をしかめると、腕を組んで木にもたれかかった。


「たいした事ではない。住む家が変わるのと、<伯爵夫人>になるだけだ」


「十分『たいしたこと』よ」


「他は今まで通りだ。好きにしていて構わない。村に遊びに行っても、魔法でどこかを吹き飛ばしても、織物を習っても」

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