幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「ねえ、この子はこんなに小さくて大丈夫なの?」


「赤ん坊としては普通ですよ。たくさんミルクを飲んで眠れば、すぐに大きくなります」

赤ん坊の母親が優しく答えた。


「ふうん」

少年はもう一度赤ん坊の頬を撫でた。

「早く大きくなるんだよ。外で一緒に遊ぼうね」


赤ん坊の顔がふにゃっと歪んだ。


「あ……ああ、泣くなよ。ほら!」


少年は覚えたての魔法で揺り篭の上に光を散らした。

金や銀の光がキラキラと降り注ぐ。

赤ん坊は不思議そうにそれを見つめた後、キャッキャと笑って手を叩いた。


「いい子だね」

少年は満足そうに微笑んで、揺り篭をそっと揺らした。


「僕がずっと側にいるよ。お休み、僕のアレクサンドラ」



   *************


< 286 / 289 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop