幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「前から聞きたいと思っていたのだが、なぜアレクサンドラに召喚された? 駆け出しの魔導士が召喚できるような幻獣ではないだろうに」


サラマンダーは壁の上で振り向いた。


――奥方が<異界>の者の血を引いてるって知ってたかい?


「いや、初耳だ」


――初代のマスタフは<異界>からこっちに来た騎士だった。いい奴だったよ。
オイラは、その子孫に召喚されてきた。
奥方の親父さんにも。親父さんの親父さんにも、さらにその上の親父さんにも。ちょっとくらい奥方を贔屓(ひいき)したっていいだろ?


「そうだな」


――オイラも前から聞きたかった事があるんだ


「なんだ?」


――何であんたはいつも、『アレクサンドラ』って呼ぶんだい? 他の連中は『サンディ』って呼ぶじゃねぇか


「わたしがつけた名前だからだ」

ホークはニッと笑った。

「表向きは母が名付け親ということになっているが、名前を考えたのはわたしだ。一生呼ぶ名前だから、自分の好きな名前をつけるくらい構わないだろ?」


――ああ、構わねぇぜ

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