幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「いいぞアレクサンドラ。最近は歯ごたえがなくてつまらぬと思っていたが、ちゃんと爪を研いでいたのだな」

「あたしの代わりに、あたしの魔法が大騒ぎしてるじゃない」

「言えてるな」


ホークはクックッと笑いながら、パトリックに目をやった。


「忠告しておこう。この弟子が魔法を使う時はできるだけ離れているがいい。まだ魔力の制御が上手くいかぬのだ」


パトリックは無言で何度もうなずいた。


「さて――アレクサンドラ、練習を始めようか。悪いが今日はあまり時間がない」

「いいよ。忙しいのは分かってる」


ホークに暇がないのは毎度の事だ。


「今日は何をやるの?」

「今日は危険度が低いものにしよう。客人もいることだしな」


ホークに連れられて行ったのは、離れになっている書庫だった。

建物は円筒状の塔で、中央が三階まで吹き抜けになっている。

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