幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「あっ!」

「何か見えたか?」

「うん、フェアリー! 透き通っているけどフェアリーが見える!」


蜻蛉のような四枚の羽を持つ妖精の姿が、浮かび上がるように見えている。

あたしは顔を上げてホークを見た。


「これも魔法?」

「いや。それは目の錯覚を利用した、ただの絵だ」

「他のページも?」

「ああ。だが、こちらの本は――」


ホークは別の本を広げた。


「――正真正銘の魔法だ」


それは、左側に絵、右側に文字が書いてある外は前の本と違わないように見えた。


「文字を読まずに、全体を見るんだ。先程の絵を見たように」


あたしは、しばらくじっと本を見つめた。

一カ所に視線をやった途端、ブワッと飛び出すように、探していたモノが見えた。

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