幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「ショーンはキスをしてくれたかい?」


思いがけない問いに、あたしは慌てて首を横に振った。


「そうか」


ホークは少しかすれた声でそう言うと、ゆっくりと身を屈めた。

あたしの口を塞いでいたホークの手が顎へと滑り、代わりに唇があたしの口をそっと塞いだ。

驚いて目を見開くと、有り得ないほど間近にあるホークの金色の瞳と目が合った。


まるで知らない人みたい――


急に怖くなって両手でホークの体を押し戻すと、あっさりとホークはキスをやめた。


「どうして……?」


あたしは口を押さえながら、震える声で聞いた。


「その年で、キスひとつした事がない方が『どうして』だ」


だって、ショーンはキスしてくれないから

だって、ショーンはあたしを友達だとしか思ってないから

――でも、心の奥に巣くう不安を認めたくはない。


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