幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
ホークはあたしの前の椅子に腰掛けた。

ミリーがホークにお茶を渡す。


「王が実権を握って三年。内政はまだ安定しておりません。王は謀叛の心配をされているのですよ。ここしばらく、わたしは宮廷に顔を出していませんから、心証が悪いらしい」


現在の王は、10歳で王位についた。

もちろん、そんな子供に政(まつりごと)ができるわけがなく、政治の実権は王母の兄が握っていた。

三年ほど前に成長した王が、宰相を務めていた伯父を追い落とし実権を握ったけれど、未だ宰相派の謀叛の噂が耐えないという。


「半月ほど王都にいることになりますが。領地の管理はいつも通りマクスレイに任せます」

マクスレイさんは、先代伯爵の頃からの家令だ。

「土地の守りは幻獣を配しておきますからご心配なく」


先代伯爵夫人はうなずいた。


「それより心配なのは、お前だな」

ホークはあたしを見た。


えっ、あたし?

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