幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
すると、ホークはバカにするように鼻を鳴らした。


「お前の謝罪は聞き飽きた」


おっ! ついに破門か?


あたしはニヤニヤ笑いをしそうになって、慌てて頬の内側を噛む。


「明日から一週間特訓だ」


と、と、と、特訓?


弾かれたように顔を上げると、ホークの金色の瞳と目が合った。


「悪いね、アレクサンドラ。わたしは諦めが悪いんだ」


あたしは深いため息をついた。


ホークは、あたしの後見人。


ホークのお母さん――つまり先代伯爵夫人とあたしの母は乳姉妹だ。

若くして未亡人になったお母さんは、まだ五歳のお姉ちゃんとお腹の中にあたしを抱えて、先代伯爵夫人を頼ってアルス村に来た。


あたしの名前は先代伯爵夫人がつけてくれた。

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