幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「あたし、本当は織り師になりたいの」
ポツンと言うと、おばば様はそっと首を横に振った。
「織り物は趣味にとどめておく方がよくはありませぬか?」
「下手だから?」
「貴族のお嬢様だから」
おばば様は布の縦糸をなぞる。
「確かに魔術よりは織りの方がお上手。ですが、織り師は庶民の職業ですぞ」
「あたしは貴族って言ったって、形だけだもん。体面のためだけに好きな事を出来ないなんておかしいよ」
おばば様は手を止めてあたしの顔を見た。
「ご家族は反対されましょう? それに伯爵様も」
「母はあたしの気持ちを知ってる。ホークには……まだ言ってない。反対されるかも。だから迷っているの」
「織り師になるおつもりなら、この程度の織りでは話になりませぬぞ」
ポツンと言うと、おばば様はそっと首を横に振った。
「織り物は趣味にとどめておく方がよくはありませぬか?」
「下手だから?」
「貴族のお嬢様だから」
おばば様は布の縦糸をなぞる。
「確かに魔術よりは織りの方がお上手。ですが、織り師は庶民の職業ですぞ」
「あたしは貴族って言ったって、形だけだもん。体面のためだけに好きな事を出来ないなんておかしいよ」
おばば様は手を止めてあたしの顔を見た。
「ご家族は反対されましょう? それに伯爵様も」
「母はあたしの気持ちを知ってる。ホークには……まだ言ってない。反対されるかも。だから迷っているの」
「織り師になるおつもりなら、この程度の織りでは話になりませぬぞ」