幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
やっぱり?


ずーんと落ち込んだけど、おばば様の言いたい事は分かる。

人に買ってもらえるような物を織り上げて、やっと一人前の織り師だもの。


「逃げている訳ではありますまいな?」


「魔法修業が上手くいかないから? そこまで根性なしじゃないよ」

あたしは、ため息混じりに言った。

「もともと魔導士になりたかった訳じゃないんだ。ホークが……ううん、これも『逃げ』だね。ホークが悪いんじゃない」


「物事が上手く行かない時は、やり方を間違っているもの」


「才能がないんじゃなくて?」


「学べば誰でも料理が作れましょう? 宮廷の料理人にはなれないやも知れませぬが。才能とは、一定の基準の上を行くためのものでございます。嬢様の魔法は最低の基準にさえ達しておらぬのでは?」


おばば様の言う通りだ。


「織り師は地味な職業ですぞ。若いうちはひたすら麻の平織りばかり」


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