幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
とは言っても、『アレクサンドラ』なんてご大層な名前はあたしには似合わなくって、みんなは『サンディ』ってあたしを呼ぶ。


正式な名前で呼ぶのはホークだけ


小さい頃はホークの事が大好きで、トコトコとどこにでもついて歩いた。

あたしより十歳年上のホークも、あたしを妹のようにかわいがってくれていたのに……


いつからだろう

あたしたちの仲が変わってしまったのは


先代伯爵が亡くなって、ホークがお姉ちゃんとあたしの庇護者になった頃からかな。


ホークはあたしを魔導士にするって決めてしまって

あたしはホークの期待を裏切りたくなくて毎日頑張っている。


でもはっきり言って魔導士なんてあたしに全然向かない。

確かに貴族のほとんどは魔導士だ。

立派な魔導士になれば宮廷に勤めることもできて、いい縁談にも恵まれるという。

ホークはホークなりにあたしの事を考えて魔術を教えてくれてるんだと思う。

あたしの家は貴族とは名ばかりで身分も低けりゃ財産もないから。

< 6 / 289 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop