幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「妙な噂って?」


「王に謀反を企てている貴族の粛清が始まるって。前宰相派だった貴族は領地に立て篭もり始めてるとか」


「どこから聞いたの?」


「父と兄達が話してた。うちの母の出身地はトーレで、あそこの領主は前宰相派だったんだ。親戚の子供達だけでもこっちに呼び寄せたいんだけど……」


「ホークが帰って来るのを待ってたら、間に合わなくなるかもしれないじゃない! 先代伯爵夫人にお願いした方がいいわ」


「僕もそう言ったんだけど、父が渋っていて」

ショーンは顔をしかめた。

「謀反人の領民を引き受けて、伯爵様に迷惑がかかるかもしれないだろ?」


「ホークはそんな事を気にするような人じゃないわ」


「分かってる。父も分かってる。だから言えないんだ」


ショーンの言う意味が分からない。


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