幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
迷える乙女

 1

泣いても笑っても、普通に夜は明ける。

あたしの気分なんてお構いなしに、世界は回って行くのだ。


目が覚めた時はすでに日は高かった。

どうやら母は、あたしをゆっくりと寝かしてくれていたらしい。

あたしはベッドの上に仰向けになって、天井を見つめた。


自己憐憫は昨日で終わり。

今日からは、新しいあたしになろう。

そうよ

織り師になって、仕事に生きるのよ


あたしは、勢いよく起き上がった。


まずは顔を洗って、髪を梳かすか……


部屋の片隅に桶と水差しがあるけれど――ええい、面倒くさい!

外で洗おう

どうせ、水を捨てに外へ行かなきゃいけないんだから。


あたしは着替えてから、顔を拭く布と櫛だけ持って階段を下りた。


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