幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「サンディ?」

母の声がする。

「ビスケットとミルクを置くわよ」


反射的に『ありがとう』と答えた気がする。


でも、今はやめられない。


燃えるような瞳のサラマンダーが、糸の間に現れ始めている。


「おいで」

あたしはつぶやいた。

「あんたの姿を見せてちょうだい」


尻尾を真横に払い、肩越しに振り向くサラマンダー


わずかに開いた口先からチロチロと火が出ている。


「炎が稚拙すぎる」

自分の技術の素人さ加減に、あたしが思わず不満を漏らすと、

――初めてにしちゃ、よくやってるよ

どこからか声が聞こえた。


ギョッとして辺りを見回すと、

――手を止めるな、嬢ちゃん。オイラを織り上げろ


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