幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~

 4

――ヘッタクソな<扉>だな


布の中からサラマンダーが言った。


「うるさいね。あんたの口を最後に織ればよかった」


あたしはブツブツ言いながら、小さなタペストリーを織っていた。


この間あたしが倒れてから、根を詰めるような事をしては駄目だと母に言われている。

おかげで、毎朝早起きして織物をする羽目に陥っている。

今日で三日目。

今日こそは織り上がりそうだ。


――だが、今度はこの<扉>から出入りできる

サラマンダーは満足そうに言った。


「ねえ、あんたって本当にサラマンダーなの?」


――もちろん


「しゃべる幻獣なんて始めて見た」


――オイラ達はみんな話すぜ


サラマンダーの燃えるような瞳があたしを見上げる。

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