幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
あたしは……どうすればいい?

今のままじゃ何年たっても魔法は使えない。

でも、あたしの『平たい魔法』って、使い続けていていいものなの?


あたしは自問自答を繰り返しながら小さなタペストリーを織り上げた。

ハサミで縦糸を切り、端の始末をする。

布の中のサラマンダーは、満足げにあたしを見た。


――嬢ちゃんの魔法は時間がかかるけどな、いっぺん布にしちまえば、オイラ達を召喚するのはあっという間だ。むしろ他の魔導士よりも速いだろうよ


「それって、いい事なの?」


――役に立つ日が必ずくるぜ。オイラの名はジャルグだ。呼んでみな


「ジャルグ」


言われるままに口にすると、舌にざらつくような感覚が残った。


すると、テーブルに置いたタペストリーから光が上り、サラマンダーがゆっくりと這い出て来た。


赤銅色の硬い皮膚

燃えるような金色の目

口からチロチロと覗くのは、炎からなる舌

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