痛いくらいの好きを君に。

私達の学校より少し手前に、央志と雪人が通ってる高校がある。



「奈子、千尋!ちゃんと授業受けろよ」



校門前で私達に向かって央志が叫んだ。



『言われなくても受けるよ』

「俺は確実寝るな」



軽く手を振る雪人の姿も目に入り、私達は大きめに手を降り返す。

央志達の姿が見えなくなる代わりに、私達の中学校が視界に移った。



『やっとついたー』

「けど、遅刻ー」

『けど、ついたー』

「けど、誰もいないー」



下駄箱に到着した私達。

下駄箱、廊下と辺りを見渡すが、私達以外の生徒はいなかった。



『最悪だ…』

「なんで?」



私の呟きに対し、千尋は小さく問いかけてきた。



『だって、…誰もいなかったら一人で教室に入っていかなきゃなんないんだよ?』

「入ればいいじゃん?」

『簡単に言わないでよー…』



私は千尋じゃないんだから。

人に注目されるような行動はごめんだ。
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