痛いくらいの好きを君に。
『あー…、あたしの馬鹿ぁー。ばかバカ馬鹿ぁー』
と、只今反省中の私。
なんで…、どうしてあそこで逃げ帰ってきたんだ。
まだ、…まだパンも買ってなかったのにっ…。
『………千尋のせいだ…。千尋があたしなんかを助けるから…』
別にあんな人混みで後ろに倒れても、全然痛くないし…。
と言うよりも、あんな状態じゃ倒れようがないし…。
『千尋のバーカ、千尋のバーカ、バーカバーカバーカ…』
と、リズムに乗せて悪態をついてみるが…。
うん、気が晴れない。
そんな事を考えていた私目掛けて、何かが飛んできた。
『なっ!?』
「ナーイスキャッチ♪」
『滉也』
「パンを買いに来た奴が、なんでパンを買わずに帰ってんだよ」
『琉太』
「バカ奈々子。だから跳ぶなって言っただろ」
『玲』
三人はちゃっかりパンをゲットしていたらしく、私の分も買ってきたと言ってそのパンを投げつけてきた。
ってゆうか…。
『もっと丁寧に扱ってよ。パンって意外に繊細なんだから』
私の言葉なんてお構い無しにパンを投げてくる三人。
『ちょ、だから、パンが潰れる…』
「そう言えばさー」
『おーい、話を聞けー』
「さっき奈々子に抱きついてた奴」
『…!』
滉也の言葉に何故かドキリとする。
「相川のことか?」
「そう、相川ー!」
「相川が何だ?」
なんでだろう。
なんか、少し空気が重く感じる。
「相川って大して仲良くない女子にも、ああゆう事するのかー?」
「俺らが知るかよ」
「まあ、若干馴れ馴れしいよな」
滉也が言う仲良くない女子=私の事だと思う。
私と千尋が幼なじみと言う事を、ここの生徒は誰も知らない。
まあ、私達が幼なじみと言うことは内緒にしているから、誰も知らないのは当たり前だ。