痛いくらいの好きを君に。
私と千尋は家こそ隣同士だけど、学区が違い小学校は別々の場所に通っていた。
ちなみに、琉太達五人とは小学校が同じ。
「奈々子、次あんな事されたら怒れよ!」
『はぁ…』
その前に逃げるよ。
「はぁ、じゃないだろ。気の抜けた返事をするなよ」
『あ、…はい』
私と千尋の本当の関係を知らない三人は警戒しろだの、あいつに近寄るな、と言う。
こうゆうのが面倒くさいから、『実は私達、幼なじみなんです!』って、言いたくなる。
けど、絶対秘密。
『絶対言わない……』
「何か言ったか?」
『え?…ああ、気にしないで。なんでもないから』
「……………ふーん」
私を見る玲の目が“怪しい”って語ってきているが、そこはあえてスルーしよう。
「腹も減りすぎたことだし、早く教室戻ろーぜ」
両手に抱えたパンを凝視しながら滉也が呟く。
『そう言えば、…あたしも腹の虫が鳴き続けてるよ』
お腹に手を添え、腹へりポーズをする私。
「文香達も待ってるし、…急ぐか」
「あっ、玲一!急に走るなよー!!」
「滉也っ、パン落としてるぞ!」
『落ち着きがないなぁー』
玲を先頭に私達は教室へと走った。