痛いくらいの好きを君に。
「遅いよ、みんなー!文香達お腹ペコペコだよー!!」
『ごめんね、文香。クリームパン分けてあげるから怒んないで?』
「クリームパン!?嬉しいー、奈々ちゃん大好き♪」
クリームパン一つで機嫌を直してくれる可愛い文香。
百合乃は端から怒ってないみたいだ。
『じゃあ、ご飯にしよっか?』
定位置に着席した私達。
各自、机の上にお弁当やパンを並べる。
“いただきます”と声を揃え、私達は昼御飯を食べ始めた。
お腹が空きすぎていた事もあり、私は無我夢中でパンを食べていた。
急に廊下が騒がしくなったみたいだが、そんなのも気にならないくらいパンにかぶり付く。
「東城、お客さんだぞ」
と、言う男子の声でやっと廊下が騒がしい事に気付いた私。
『え、お客さんってな…に………!』
と、言い終えると同時に私の視界にある人物が映る。
『ち…、じゃなくて…………相川…く、ん…』
私と視線が合うと手を振る千尋。
いや、…手なんか振ってる場合じゃないよね?
売店に引き続き、今、すごい注目の的だからね?
内緒にしたいって言ってるのに、何かと接触してくる千尋。
「保体委員の東城さん、今日俺と保健当番だから」
千尋はニコリと笑い、私に来い来いと手招きする。
だから仕方なく、食べきれてないパンを鞄にしまい、千尋のもとへ。
「さっきのパン食わないの?」
『食欲が失せた…』
「え、病気か?」
十中八九、お前のせいだよ…。
クラスや廊下に集まる生徒達に見送られながら私達は教室を出た。