痛いくらいの好きを君に。

《あっ、奈子?》

『何、お兄ちゃん?』

《はい?》

『はい?じゃないよー。用事があるから電話してきたんでしょー。買い物?それなら、私が帰りに買ってくるから、欲しいものをメールで送って?もうすぐ帰るからさ。私が帰るまでちゃんと家で待っててね?私の部屋で待つんじゃなくて、リビングで待っててね?じゃあ、また後で』

《あっ、おい、ちょっ…》



――――――――プチっ。



まだ話し途中だったけど、マシンガントークで切り抜け即電話を切った。

そして隣と前に座っていた二人に笑かける。



『と まあ、そうゆうことだから。私もう帰るねー』

「え、…ああ」

『ごめんね、じゃあまた明日ー』

「おー、またな」



二人をファミレスに残し、私は自分の家へ急いだ。

買い物リストのメールなんてこない。

電話の相手は買い物を頼むつもりではなかったみたいだから。

全力で走ったら今までで一番高記録が出せた。



『ただいまー!』



勢いよく玄関のドアを開けリビングへ行く。

だけど、そこには誰もいない。

両親は仕事。

兄弟は部活。

電話の相手は…。



『あたしの部屋…』



急いで階段を駆け上がり自分の部屋を開いた。



「…おかえり」

『…ただいま』

「………で、俺はいつから奈子の兄貴になったわけ?」



珍しく無表情な千尋。

千尋は私のベッドで胡座をかいていた。
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