痛いくらいの好きを君に。
『………千尋。今すぐ待ち受け変えて、写メを削除して』
「なんで?」
私の言葉に心底不思議そうな声を出す千尋。
「いやー、我ながら良く撮れたわぁー」
「半分は俺のお陰ね…」
待ち受けを見た二人は満足そうに階段を降りていった。
『………って、普通こんな状況で置いてく?大事な妹がどうなってもいいのか?』
二人のいなくなった空間を見つめぼやいてみるが、返答なんかあるわけなく。
変わりに、私に跨がっている奴が喋り出す。
「奈子、どうする?」
『………どうもしない』
「このまま、あんな事やこんな事…しちゃう?」
『…………絶対しない。もういいから、早くどいてよ』
そう言って、千尋を押し退けようとした瞬間。
『えっ?』
千尋に腕を捕まれ、右手で頭を壁側に押さえつけられる。
『ちょっと、ちひ…』
千尋の最後の文字を言う前に、口を塞がれる。
軽いリップ音が部屋に響いた。
お互いの唇が離れた後、千尋は悪戯に笑う。
「目ぇ、覚めたかー?」
『とっくの昔に覚めてるよ…』
「じゃあ、早く飯食ってこいよ。待ってるから」
『うん…』
朝っぱらから何やってるんだろう。
央志ではないけど、そんな事を考えながら一人階段を降りた。