痛いくらいの好きを君に。
私が下に降りていくと、父と母、そして央志と雪人が朝食をとっている最中だった。
「やっと降りてきたなー」
「あれから何してたの…?」
『別に、何もしてないし』
二人を軽く睨んだ後、私は用意されていた朝食の前に座った。
「千尋はまた窓から来たの?」
と、母が笑う。
「落ちたりでもしたら大変だから、ちゃんと玄関から入って来るように言っとくんだぞ」
父はいつも二階の出窓からやってくる千尋が心配で堪らないらしい。
『言ってるよー…。言ってるけど、窓からの方が近いからってきかないのー』
「お隣なんだから、そんなに変わらないのに?」
食べ終わった食器を片付けながら母が言う。
『そもそも、あたしと千尋の部屋の出窓の位置が一緒なのが悪いんだよー』
私は味噌汁をグッと飲み干し、『ご馳走さまでした』と手をあわせる。