そして、今日も好きなんだ
「僕だけどさー、」
《分かってるって!》
一応名乗った僕に、あいつからのツッコミが入った。
一応、だよ。
ディスプレイに名前が映し出されるんだから、そんなの知ってる。
「分かってることも、分かってるって!」
ケラケラ笑いながら、僕はツッコミ返した。
さっきまでの彼女との時間を思い出して、少し胸が痛くなったから、無理やり笑った。
そんな僕に、あいつも笑い返した。
だから。
幸せを手に入れるとき、何かを失うなら。
僕は、“今のまま”で十分だと思った。