椎名的人生




末期の肝臓癌で
どこにもかしこも
転移してるらしく、

痛みを感じないことが
唯一の救いだと、
医者は言っていた。



おじいちゃんはそのまま入院。



あたしは、ほぼ毎日病院へ
お見舞いに行った。


佑兄に不登校とばれないように
制服着て
市立図書館で本を読んで
病院のバスの時間になったら、
バスに乗っておじいちゃんの
お見舞いに行った。



でも、いつ行っても寝てた。


「おじいちゃん」

と、声をかけても

一度も起きてはくれなかった。
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