椎名的人生
お通夜の事は
全く覚えてなくて
お葬式も、最後しか
覚えてない。
あたしはずっと、虚ろ
だったらしい。
お葬式の時、誰一人
家族は泣かなかった。
おじいちゃんの妹さんと
お母さんの従兄弟が
大泣きしてた。
おじいちゃんだった物体が
火葬場に行く車へ運ばれていくとき
親戚のお姉ちゃんから
「これで、もう、おじいちゃんと
二度と会えないのよ。さよなら
なのよ」
半泣き状態で言われた
泣きそうになり、喉に焼けるように
痛みを感じ、
「おじいちゃん...」
ポツリ、呟くとまた一滴
涙がこぼれた
だけど、母の会社の同僚さんと
目が合い、すぐに泣いてない
ふりをした。
家族みんな泣いて無いんだもん。
あたし一人だけ、泣くわけに
いかない。
そう思った