モラトリアムを抱きしめて
リビングに入り、少しだけホッとした。

無事に買い物を終えた事もだけれど、少女がちゃんといてくれた事に。

帰ったらもういないんじゃないか。そんな思いがどこかにあったのだ。

ソファーで一息ついて、ふとテーブルを見ると少女が握っていた千円札が置かれている。

それを見た時、また強く頭が痛みだした。

もう、何なの。

今日はおかしい。

こんなにも頻繁に痛む事は今までなかった。

頭を抱え込みじっとしていると、いつの間にかサイズが合っていないパジャマを着た少女が、リビングの入り口に立っていた。

「やっぱり少し大きいね」

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