モラトリアムを抱きしめて
少女は照れ臭そうに頷いて私の横にちょこんと座ると、「大丈夫?」と小さな声を出し、私の膝の上に手を置いた。
それがポカポカと温かくて弱音を吐きそうになったけれど、ぐっと堪える。
「うん」と軽く返事をすると少女はやっぱり心配そうな顔をしていた。
「そうだ、消毒!」
それを見ていない振りをして買ってきた消毒液とコットンを取り出し、早速コットンにボタボタと消毒液を染み込ませる。
少女の濡れている前髪をあげると、まだ痛々しく生々しい傷が現れた。
「痛いと思うけど我慢してね?」
傷口にコットンを当てると、顔を歪めた少女を見て私まで顔が歪んでしまった。
コットンにはキレイな赤い血が滲み、消毒液と一緒に交ざり合う。
少女は私が絆創膏の箱を開けているのを、前髪を押さえじっと待っていた。
「今日だけだからね」
大きな絆創膏のフィルムを剥がしながら言った私の言葉に、少女はきょとんとこちらを見ている。
その目に負けそうになり、先に逸らしたのは私だった。
それがポカポカと温かくて弱音を吐きそうになったけれど、ぐっと堪える。
「うん」と軽く返事をすると少女はやっぱり心配そうな顔をしていた。
「そうだ、消毒!」
それを見ていない振りをして買ってきた消毒液とコットンを取り出し、早速コットンにボタボタと消毒液を染み込ませる。
少女の濡れている前髪をあげると、まだ痛々しく生々しい傷が現れた。
「痛いと思うけど我慢してね?」
傷口にコットンを当てると、顔を歪めた少女を見て私まで顔が歪んでしまった。
コットンにはキレイな赤い血が滲み、消毒液と一緒に交ざり合う。
少女は私が絆創膏の箱を開けているのを、前髪を押さえじっと待っていた。
「今日だけだからね」
大きな絆創膏のフィルムを剥がしながら言った私の言葉に、少女はきょとんとこちらを見ている。
その目に負けそうになり、先に逸らしたのは私だった。