モラトリアムを抱きしめて
決別
「ご家族の方ですか?」
「あ、え……と……親族です」
家族と名乗るのも、娘と名乗るのも嫌だった。
「こちらです」と案内されたのは冷たい廊下。
院内は静かで薄暗かった。二人の足音だけが響き渡る。
看護師について歩いていくと、さらに冷たく静かな場所へ連れてこられていた。
ここって……。
嘘、だ。
ハッと気付いた時には、看護師よりも先に『霊安室』の扉をくぐっていた。
「あ、え……と……親族です」
家族と名乗るのも、娘と名乗るのも嫌だった。
「こちらです」と案内されたのは冷たい廊下。
院内は静かで薄暗かった。二人の足音だけが響き渡る。
看護師について歩いていくと、さらに冷たく静かな場所へ連れてこられていた。
ここって……。
嘘、だ。
ハッと気付いた時には、看護師よりも先に『霊安室』の扉をくぐっていた。