モラトリアムを抱きしめて
少女だとわかったのは、乱れた長い黒髪と、ほっそりとした手足。
擦り切れそうな赤いカーディガンと、季節はずれの膝までしかないジーンズ。
靴を履いていない足元は、無数のすり傷と土だけを纏っている。
ギュッと握られた右の拳の隙間から覗くのは、くしゃくしゃになった千円札。
中学生にしては少し小さい。小学生だろうか。
――そうだ!夢中になって忘れていた。
早く警察……いや、救急車?
とにかく携帯を取りにさっきのベンチに――
立ち上がろうとすると、ふわっと何かが腕に絡まった。
擦り切れそうな赤いカーディガンと、季節はずれの膝までしかないジーンズ。
靴を履いていない足元は、無数のすり傷と土だけを纏っている。
ギュッと握られた右の拳の隙間から覗くのは、くしゃくしゃになった千円札。
中学生にしては少し小さい。小学生だろうか。
――そうだ!夢中になって忘れていた。
早く警察……いや、救急車?
とにかく携帯を取りにさっきのベンチに――
立ち上がろうとすると、ふわっと何かが腕に絡まった。