モラトリアムを抱きしめて
強い潮風が私の髪を巻き上げる。

息が苦しくなって思わず海に背を向けた。

そんな自分を鼻で笑いながら、ふと、前を見ると小さな公園が目に留まる。

あ、あの公園……。

私の足は自然に公園に向かっていた。

兄とよく遊んでいた公園。

そうだ。


そうだ――……



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