モラトリアムを抱きしめてのレビュー一覧
野いちご世代のあなたにはドキリと、ベリーズカフェ世代のあなたにはズシリと来る作品だと思う。 この作品の中に、きっと『あなた』はいる。 主人公と全く同じ経験はしていなかったとしても、必ずどこかに自分を『感じる』筈だ。 読み進めていけば時に胸を抉られる様な痛みを経験するかもしれない。あなたが今、オトナになってしまったのなら。 居心地の良い台詞や甘い台詞の小説も良いけれど 自分が揺さぶられる様な小説に出会う事は、そう多くない。この作品はまさにその作品だと思う。 自信を持っておすすめします。もっと多くの人に、読んでいただきたい作品です。
夢中で読んで、 そして、呼吸した。 あたしは藤乃さんの言葉と物語が心底好きだ。 なんでこんなに深くまで胸に入ってくるんだろう。 なんでこんなにせつなく…、そして優しく傷を塞いでゆき、温かな余韻で救ってくれるのか、本当に不思議でならない。 涙ひと雫。 渇いた心に染みるように広がり、決して消えない静かな熱が残る、そんな大人のサスペンス。 読みごたえのある秀作!
*** 何を書いてもネタバレになってしまいそうで、それでは申し訳ないと思いつつ、これだけ書きます。 私たちが大人になる過程で知らず知らずの内に抱き、そして抑え込んだ感情が、ここには それこそ剥き出しに在ります。 正しくは、現れます。 これ、セラピーです。 あなたはあなたを抱き締めるかもしれない。 泣く人もいるかもしれない。 けれどその後には、 きっと心が軽くなっている気がする。 そんなお話。 心当たりのないあなたも、 あなたのインナーチャイルドに出会えるかもしれない。
人として生まれ、人生という道を歩いていく。 その道はそれぞれ違っていて。 楽しい事も悲しい事も、望む望まないに関わらず現れて。 でもそれは自分だけじゃないんですよね。 生きていくのは結構大変で、迷いや葛藤も多いけど。 「あぁ…そう考えればいいんだね」と思わせてくれるメッセージを、この作品から受け取る事が出来ました。 色んな経験をしてきた大人の方々に、読んでいただきたいです。