KIRINの恋
「まどかさん。知ってます?今度の異動で新しくうちの課に来る人。超イケメンらしいですよ!」

朝一番に美奈はまどかに告げた。

「へえ。そうなんだ。美奈ちゃん知ってるの?」

「私も見たことはないんですけど、噂では仕事もできるし顔もいいし、最高の物件だって営業部の子が言ってました!」

「営業の人なんだ」

営業か…。

松田さんも営業部から異動するって言ってたよな。

松田の顔を思い出し、まどかは思わずにやけた。

「まどかさん?どうかしました?」

「え、いや、楽しみね。どんな人か。」

「あ、まどかさん狙ってますぅ?だめですよ彼氏持ちのくせに~」

楽しみといっただけだが、美奈は楽しそうにまどかをつついた。

「美奈ちゃんこそ。もしかして狙ってるの?」

冗談のつもりで聞いたまどかだが、予想に反して美奈は真剣に言った。

「タイプだったら頑張りますよ。私」

「え?美奈ちゃん、たあ君はどうしたのよ」

「たあくんはもういいんです!KIRINだし」

出た。KIRIN。

「KIRINの何が悪いのよ」

「おーいみんな聞け」

反論しようとしたまどかだがその声は部長によって遮られた。


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