KIRINの恋
「松田さん…来たかったところってここですか…?」

「そうだよ」

笑顔で答える松田の目の前は…

「ここ動物園じゃないですか!」

「うん。そうだね。俺来たかったんだ」

図書館から松田の車に乗り、連れてこられたのは以前約束をしていた動物園だった。

「何考えてるんですか…」

まどかはうなだれた。

完全に松田のペースに乗せられている。

「いいじゃん。せっかく来たんだから楽しもうよ」

少年のような笑顔で松田は言った。

「私は…帰ります!」

「帰んの?」

「はい」

「あっそう。…じゃあさよなら」

えっ?

そっけなく松田は言った。

「俺は来たからには見ていくから。」

「何それ!?」

確かここまで来るのに高速道路使って、1時間くらいかかってない!?
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