KIRINの恋
「会社の人が来ないように遠いところ選んだからね。タクシーもいないみたいだし…」

周囲を見渡しながら松田は言った。

「サ、サイテ―!」

「行こうよ城田さん。別に恋人になってくれって言ってるわけじゃないよ。友達として行こうって言ってるだけだし」

「あなたは上司です!」

「じゃあ親睦会ってことで」

「二人で親睦してどうすんですか!」

「かたくなだなー。じゃあこうしようよ。これを最後に君には関わらない」

「えっ…」

「図書館にも行かない。会社でもただの上司」

これでどう?と松田は言った。


「本当にかかわらないでくれますか」

「約束するよ」

「じゃあ、ちょっとだけ…行きます。」

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