MIND SPIRAL
「そんじゃ、行って来ます」
乃亞は玄関を蹴りあげるようにして飛び出て行った。
今日から学校が始まる。今まで冬休みモードだったが、学生モードに切り替えた。
あの日以来、琉佳達には会っていない。だから、あの日の事を謝ろうと思っていた。
「僕も行きます」
「!!……い、いいよ」
「僕はクラリスを捜しているだけです」
と言うとオスカルは乃亞の横に歩いて来た。
「仕方ねーな。そのかわりに姿は隠しておけよ」
「神は一般の人には見えませんよっ」
まぁそうかもしれないが。
じゃあ、あたしは一般の人ではないという事だろうか。
朝、登校するまでに幾人という人とすれ違っている。
しかし、オスカルはそんな事を気にせず乃亞に話し掛けている。
「オスカル、ちょっと黙ってろ」
一般の人に見えていないなら、あたしは誰と喋っている事になるんだ。
独り言を呟いているみたいだ。
途端に恥ずかしくなってきた。