MIND SPIRAL
激しい目眩がする。
 
「乃亞……助けて……」
 
 
 
「……!!」
 
その言葉は乃亞に届いた。
 
乃亞は本を読むのを止めて教室を見渡す。
 
オスカルの姿が確認出来ない。
それにこれ以上キョロキョロしても怪しまれる。
 
 
(オスカル、聞こえる?あたしの席からじゃあんたの姿を確認する事が出来ないの。一体どこにいるの?)
 
 
「……後ろの方」
 
弱々しい声は乃亞に届いた。
 
後ろ……。駄目だ。
 
 
生憎、乃亞の座席は一番前。後ろを振り向くだなんて事は出来ない。
それに、先生が生徒の様子を見ている。
 
 
 
「くそっ。早くしないと……」
乃亞の声はチャイムの音に掻き消された。
 
 
それと同時に号令が掛かる。
 
 
生徒達は起立していく。
乃亞は立つ時に後方を確認する。
 
オスカルが倒れ込んでいるのがハッキリと見えた。
 
 
しかし、まだ何も出来ない。
 
 
 
(早く終われ…!!)
乃亞は心の中でその言葉を連呼した。
 
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