MIND SPIRAL
「さっ。捜すか……」
視点を切り換えて、乃亞はオスカルとは別の方のドアを開けて、教室から出た。
「……どこにいるんだろーなぁ」
乃亞は窓を開けた。冷たい風が頬を突く。
「乃亞……」
「ん?何だ」
「その……想いは伝えた方がいいと思いますわ」
「……」
乃亞は潤を見ながら静止する。そして、また窓の方向を向いてしまう。
「……潤は勘違いをしているようだね」
乃亞は外の風景を見ながら言った。
「勘違いをしているのは乃亞の方ですわ。まだ、自分の気持ちに気付いていないだけですのよ」
「気付くも何も、あたしはアイツを」好きだとは思ってない」
「じゃあ、何故好きではない人の為にそこまでできるのかしら。きっと、後で後悔しますわよ」
そう言って、潤は乃亞を残して階段を降りて行った。
「……あぁ。そうだな」
頬を突く風がやけに痛かった。