青空




家の門の前に自転車が停めてある。

空の自転車だ。


空色、つまり水色の自転車は一目見ただけで空を連想させる。



「あ、柚葉。まだ髪はねてる」



そう言って空は私の髪を触る。




──どきん。




「…ん?そう?」



私は心臓が弾んだことなんど無かったかのように返事をした。



「…はい!直ったよ」


空が笑顔で言う。



また心臓が弾んだ。



「ありがとう!」


私まで笑顔になる。



「しっかりして下さいよ、今日から3年生なんですから。せーんぱい」


空がいたずらっぽく笑い、私の鞄をひょいっと取り上げて自転車のかごに入れる。


「余計なお世話です!」


私も負けじと反論する。


あぁ、可愛くないな…




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