【完】無愛想彼氏
蓮は、強く、後からギュッとあたしを抱きしめる。
その感覚は久しぶりで、カァッと体が熱くなっていく。
…あ、あれ?
耳元では、蓮の荒い息。
え…もしかして、走って…きたの??
…なんで??
「俺と岸本が一緒に帰るって聞いて、走ってきたの?」
「何考えてんだよ、お前」
「ったく、余裕じゃないの?」
「ふざけんな。余裕なんか、これっぽちもねぇんだ」
その言葉に、あたしは目を丸くした。
え…嘘…でしょ??
だ、だって…蓮は、いつも…よ、余裕…? あ、あれ…??
ポカーンとしてるあたしを見て、谷口はクスッと笑った。